ガイドブック

 日本ではバングラデシュのガイドブックがない。地球の歩き方シリーズにもバングラデシュはないのである。ブータンやスリランカはあるのに。インドや東南アジアのガイドブックの中に、ついでに少しは載っていないかと見てみたが、一行たりとも記述はなかった(と思う、全部読んだわけではないが)。初めて訪ねる国で、どう考えても旅行者用の案内のシステムが確立されているわけではないところへ行くときに、ガイドブックがないというのはかなり心細い。せめて地図でもと思い、インターネットでダッカの地図を探し出しはしたが、ごく簡単なものしか見つからず、大学もホテルもどこにあるか全くわからなかった。
 ちなみにホテルは国際会議事務局に予約をお願いしたのだが、メールでいくらたずねてもホテルの名前も住所も教えてくれず、ただ”誰かが空港へ迎えに行くから”という返答が繰り返されるだけだった。まあPodderが助けてくれることがわかっているからいいようなものの、そうでなければかなり不安である。(そうであってもちょっと不安だった)
 もっとも、地図もないホテルも知らない、という話しを学生にしたら、学生から「けっこうわくわくしてませんか」といわれたが。
 ガイドブックは結局バンコクの空港で見つかった。乗り継ぎの時間に空港内の書籍を扱っている全ての店を探し回り、最後の一つでついに見つけた。バングラデシュってタイの隣の隣だろ、と言いたいのだが、ミャンマーやラオスはあってもバングラデシュはないのだ。それでも、どたんばでガイドブックを手に入れることができ大いに助かった。(しかし書籍を定価の1.5倍で売るとはひどいな、バンコクの空港は)
 貧しいと言うだけなら他にも同程度に貧しい国はある。けれどもバングラデシュだけガイドブックがない。これはバングラデシュに大きな観光資源がないためだろう。バングラデシュにはヒマラヤも世界遺産もサファリもない。生活が快適な国ではないこともわかっている。だから観光で訪れる人は相当少ないのだろう。
 ダッカの空港で入国審査に並んでいるときに、すぐ後ろにダッカの日本人学校の校長先生夫妻がいた。夫妻の話だと、一年ほど前に日本でもバングラデシュのガイドブックが発行されたという。緑色の表紙だそうで、大手出版社が出しているシリーズものの一つではないようだ。空港の両替所で日本円からバングラデシュTakaに両替しようとしたら、米ドルからの両替に比べ1割ぐらい悪いレートを言われた。こんなことも、きっとそのガイドブックには書いてあるんだろう。